暗室の暗闇でフィルムに写し撮った光を丁寧に印画紙に焼き込む。
引き延ばし機から照射される光がフィルムを通って印画紙に降り注ぐ。
手のひらや紙で作ったパーツを使い、部分的に覆って一部を焼き込んでいく。
その後印画紙を現像液の中へゆっくりと浸し、
トングを使いチャプチャプと印画紙を揺らすと、
何も無かった白い印画紙に、静かにイメージが浮かび上がってくる。
そのイメージが浮かび上がる瞬間のアノ感じは何なのだろう。
何とも言えない感慨と感動がわき起こってくる。
どんな駄作でもイメージが浮かび上がるその一瞬だけは傑作に見えてくる。
(そして大抵はただの駄作だったりする)
そんな自分も今ではデジタル一眼レフをメインで使っている。
デジタルでは上記のような感慨深い一瞬は無い。
パソコン上でのRAW現像〜レタッチを経て、
プリンターでワークプリントを出力するのが通常のフローだ。
フィルムは時折思い出したように使うのみで作品撮りなどには
ほとんど使っていない。
しかし、暗い室内で引き延ばし機を使い丹念に焼き込み、
現像液に浸した白い印画紙から、
静かに浮かび上がるイメージを見た時のアノ感動は何者にも代え難い...
写真をやっていてこの喜びを知らないのは、ある意味不幸だとすら思う。
これは生活の掛かっているプロではない、
アマチュアだからこその感動であり、感慨だったのかもしれない。
でもそういったメンタル的な喜びや感動は人生を豊かにしてくれると思う。
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